すなわち、内燃機関では燃焼温度が高く排気温度が低いほど効率は高くなる。膨張行程は断熱変化とみなせるため、燃焼開始時の燃焼ガスの体積(≒上死点における容積)と排気開始時の体積(≒下死点における容積)の比(膨張比)が高いほど効率が高いということになる。
当初のアトキンソンサイクルは、閉リンク機構とクランク機構を併用して上・下死点の位置をストローク毎に変化させることで、膨張比が圧縮比よりも大きくなる状態を実現したものだが、機構が複雑すぎるため高回転化が困難で最高出力の向上に限界があったためにレシプロエンジンの主流にはならなかった。実際には圧縮比を14程度まで高めたオットーサイクルに対し、吸気バルブの閉じるタイミングを下死点の前後に一定量ずらすことで実質的な圧縮比を小さく抑え、当初のものと同等の原理を再現したものが R.H.Miller によって考案され、
ミラーサイクルとして実用化されている。オットーサイクルとの違いはバルブのカム形状だけであり、従来の部品がほとんどそのまま流用できるのは応用上の大きな利点である。しかしながら同一排気量のオットーサイクルと比べた場合、吸入できる混合気(=発生熱量)が制限されてしまうため、発生できる出力は低くなってしまう。これを補うため
過給器を組み合わせることで機関重量あたりの出力を向上させたものが実用化されている。