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合金(ごうきん、
Alloy)とは、単一の
金属元素からなる純金属に対して、複数の金属元素あるいは金属元素と
非金属元素から成る金属様のものをいう。合金の成分のうちのある元素が主成分と見なせる場合、その元素の名を冠して呼ぶ。
◆ 概要
一般に、純金属に他の元素を添加し合金にするとその性質(例えば
融点、
磁性、機械的強度、耐食性など)は大きく変化する。なので、組成を調節することにより様々な用途に応じた性質を持つ合金が生産・利用されている。合金の成分のうちのある元素が主成分と見なせる場合、その元素の名を冠して、“
マグネシウム合金”・“
アルミニウム合金”などと呼ぶ。また、
黄銅は
銅(金属元素)と
亜鉛(金属元素)の合金で、
鋼は
鉄を主体とした合金という意味がある。
しかし鋼の場合、過剰あるいは僅少な
炭素添加のものは歴史的に鋳鉄、純鉄と呼ばれ、それらの総称として鉄鋼材料という呼び方がある。鋼の原義は0.6mass%を中心にその前後の炭素量のものを鋼(刃金)と呼び、金属組織的にはマルテンサイト構造と呼ばれるものであったが、ステンレス鋼(「こう」と呼ぶ。単純に「鋼」であれば「はがね」と呼び、「〜鋼」となっている場合「〜こう」と呼ぶ。)が開発されるにあたり、炭素を必須とした合金以外でも鋼と呼ばれるようになった。しかしこれは鉄を主体とした合金であることには変わりなく、鉄含有量が50%以下になると、鉄が含有されているものでも鋼ではなく合金と呼ばれる。しかし、学術的には鋼を鉄合金あるいは鉄基合金とよんでもいっこうに差し支えはない。このように歴史的紆余曲折があり鋼の定義は難しいものになっている。
◆ 合金化の目的とその概要
◇ 機械的強度の改善(析出硬化・他)
一般に純金属は弾性限界(永久変形が生じる応力)が小さい。というのは通常の金属結晶は不完全な部分(
転位)を含んでおり、転位の移動による変形が小さな応力でおこりやすいためである。合金化によって、結晶を構成する金属元素と大きさの違う金属元素に置換させたり、結晶のなかに小さな元素を侵入させたりして、結晶のひずみを作ることによって、転位の移動をしにくくして機械的強度(硬さ、引張り強度)を向上させることができる。
ジュラルミン・鋼などの合金がその例である。
鋼などの機械的強度の改善の主流は、マルテンサイトという特殊な組織変化を熱処理により起こし最大5倍以上強化するが、これも合金化で達成される好例である。
鋼は幅広い産業に大量に用いられる用途なので合金化による強度改善の効果の総量は計り知れないものがあり、熱処理前は比較的加工がし易いことも産業界へ多大な寄与をする。合金化や熱処理あるいはそれに冷間加工組み合わせた処理により鋼より強度増幅効果をもつ固体を人類は未だ知らない。
◇ 耐食性の向上
金属元素のなかには、
Crのように、その酸化物が、皮膜(
不動態)を作り内部までの酸化の進行を防ぐ性質をもつものがあり、それらの金属の添加により耐食性のある合金とすることが行われる。ステンレスが例である。
◇ 磁性および熱膨張率の制御
磁性材料は磁場と磁束密度の関数でその性能が表現され、交流磁場をかけた場合、0となる原点を比較的通りやすいものを軟質磁性材料といい、原点を通り難いもので、たとえば磁場を0にしても磁束密度があるいわゆる着磁した状態が強いものを硬質磁性材料と呼ぶが、この呼び名は焼入れ前の柔らかい鋼の特徴と焼入れ後の硬い鋼の磁性的特徴からきたことが出発点となっている。
熱膨張率の制御も磁気特性が深く関わっている。通常の金属は冷却すると単調に収縮する場合が大半であるが、鉄はγ→α変態点で結晶構造や磁気特性が変わることで一瞬膨張する。この効果を合金化して所定の温度範囲で金属の基本的な冷却による収縮効果を、先の膨張効果によって相殺することで、その温度範囲では熱膨張率がゼロになるという他の固体物質では見られない情況を作り出すことが出来る。
◇ 融点の低下
共晶をつくる合金(例えばSn-Pbなど)では、それぞれの単独の金属の融点に比べて合金の融点を下げることができるため、より低融点の金属を得ることができる。このため、二種類の金属を接した状態で加熱すると、それぞれ単独の金属では融点に達しない温度であっても、接している部分から合金となって融けてゆく現象が起こる。たとえば、低融点の金属を加熱して液体とし、そこに高融点の金属を固体のまま投入することで、
融かし込んで合金を作ることができる。太古から
青銅作りなどで
経験則的に利用されていた。
◆ 脚注
◆ 関連項目
◆ 合金の種類(合金名索引)