ところで、日本における文化産業概念には、二つの流れがある。一つは
ドイツ語から翻訳されたもので、国際的に文化産業というと、こちらを意味することになる。今一つは、
高度成長期に、将来の成熟社会を睨み、当時の物的価値偏重を是正するという目的で、国民一般の精神的価値への関心を高めるためには、それまでの骨董品的文化行政では不充分であり、産業レベルでの意識改革が必要だということで提唱されたものである。現代の日本における文化産業概念には、この両者が渾然一体となっていることに注意を要する。なお、後者は、
通商産業省商務課課長補佐であった小野五郎が1970年代初めに新政策として提唱したのが始まりである。